I
The White Night
7年前の白夜祭
夜が終わらない祭りがあった。空には沈まない月が浮かび、街の誰もが光の下で踊っていた。子どもだった彼らは、その夜に確かな約束を交わした——「必ず、また会おう」と。だが白夜が明けるとき、何かが静かに奪われていった。
Moonstep Saga の物語は、忘却からはじまる。奪われた記憶を追いかけ、失った約束の輪郭をなぞる旅路を、四つの章で辿ります。
夜が終わらない祭りがあった。空には沈まない月が浮かび、街の誰もが光の下で踊っていた。子どもだった彼らは、その夜に確かな約束を交わした——「必ず、また会おう」と。だが白夜が明けるとき、何かが静かに奪われていった。
白夜祭のあと、人々の記憶から祭りの夜が欠け落ちた。誰と、何を誓ったのか。大切だったはずの顔も、名前も、月の光に溶けるように消えていく。忘れたという事実さえ忘れてしまう——それが、月に奪われるということ。
胸の奥に、名前のない痛みだけが残った。守れなかった約束の輪郭。取り戻したいのに、何を失ったのかさえ分からない。その空白こそが、彼らを再び動かす。青い炎が、忘却の夜を照らし始める。
彼らは勝つためだけに戦うのではない。拳を交わし、炎をぶつけ合うたび、記憶の欠片が一つずつ返ってくる。戦いは、思い出すための手段。前へ踏み出す一歩ごとに、忘れたくなかった何かへ近づいていく。
「思い出すために、もう一歩。」
One more step into the light.